|
過去ログから転載 - 15/1/11(日) 3:26 - |
新作のキックオフも済んだので、
そろそろ前作の裏話をご紹介しましょう。
今回はこちら。
これは釈放されたバルジャンが持たされた通行証で、
原作の記述通り黄色い紙です。
僕は小道具の作成をまとめる立場で、
この通行証も作らなきゃねと話していたのですが、
もたもたしてる内に他の団員が作ってくれました。
練習のたびごとに破かれているので、適当に何か
書き殴ってあるのだろうと思っていたら、
ある日まだ破かれてないのが舞台袖に落ちてました。
見るとちゃんとフランス語らしきものが書かれています。
Le Passport… 確かに「通行証」なようです。
まさか破くたびに手書きしてるとは思えないので
コピーされたものでしょうが、
それにしても本格的です。
筆記体で読みづらいですが、がんばって読んでみると
こうなってます。
Le Passport sur parole
au nom du Roi
Jean Valjean, forçat libéré,
natif de...--cela vous est égal...
--Est resté dix-neuf ans au bagne.
Cinq ans pour vol avec effraction.
Quatorze ans pour avoir tenté de s''évader
quatre fois.
Cet homme est très dangereux.
この中で''Jean''以降は、
実は原作の第１部、第２編、第３章の
バルジャンが自分の通行証を読み上げたセリフを
そのまま抜き出したものとわかりました。
豊島与志雄の訳ではこうなっています。
「ジャン・ヴァルジャン、放免囚徒、
生地……――これはどうでもいいことだ、
――徒刑場に十九カ年間いたる者なり。
家宅破壊窃盗のため五カ年。
四回脱獄を企てたるため十四カ年。
至って危険なる人物なり。」
生地？なんでいきなり布の話？と思ったら、
英語版では''native of''となってて、
何のことはない「せいち」でした。
「これはどうでもいい」という
バルジャンのつぶやきまで混ざってしまってますが、
原文の中からここまで適切なくだりを
見つけ出してくる能力と熱意には、
仲間ながら恐ろしさを覚えます。
しかも、その上にはちゃんと
「王の名のもとに」という記述まで加えてあります。
こうしたことが、さらっといつの間にか行われていて、
ほとんど誰にも気づかれぬまま、
毎回この紙はビリビリに破かれていたわけです。
僕はいまだに、この仕事が誰によるものか知りません。
そろそろ前作の裏話をご紹介しましょう。
今回はこちら。
これは釈放されたバルジャンが持たされた通行証で、
原作の記述通り黄色い紙です。
僕は小道具の作成をまとめる立場で、
この通行証も作らなきゃねと話していたのですが、
もたもたしてる内に他の団員が作ってくれました。
練習のたびごとに破かれているので、適当に何か
書き殴ってあるのだろうと思っていたら、
ある日まだ破かれてないのが舞台袖に落ちてました。
見るとちゃんとフランス語らしきものが書かれています。
Le Passport… 確かに「通行証」なようです。
まさか破くたびに手書きしてるとは思えないので
コピーされたものでしょうが、
それにしても本格的です。
筆記体で読みづらいですが、がんばって読んでみると
こうなってます。
Le Passport sur parole
au nom du Roi
Jean Valjean, forçat libéré,
natif de...--cela vous est égal...
--Est resté dix-neuf ans au bagne.
Cinq ans pour vol avec effraction.
Quatorze ans pour avoir tenté de s''évader
quatre fois.
Cet homme est très dangereux.
この中で''Jean''以降は、
実は原作の第１部、第２編、第３章の
バルジャンが自分の通行証を読み上げたセリフを
そのまま抜き出したものとわかりました。
豊島与志雄の訳ではこうなっています。
「ジャン・ヴァルジャン、放免囚徒、
生地……――これはどうでもいいことだ、
――徒刑場に十九カ年間いたる者なり。
家宅破壊窃盗のため五カ年。
四回脱獄を企てたるため十四カ年。
至って危険なる人物なり。」
生地？なんでいきなり布の話？と思ったら、
英語版では''native of''となってて、
何のことはない「せいち」でした。
「これはどうでもいい」という
バルジャンのつぶやきまで混ざってしまってますが、
原文の中からここまで適切なくだりを
見つけ出してくる能力と熱意には、
仲間ながら恐ろしさを覚えます。
しかも、その上にはちゃんと
「王の名のもとに」という記述まで加えてあります。
こうしたことが、さらっといつの間にか行われていて、
ほとんど誰にも気づかれぬまま、
毎回この紙はビリビリに破かれていたわけです。
僕はいまだに、この仕事が誰によるものか知りません。
<Mozilla/5.0 (Windows NT 5.1; rv:34.0) Gecko/20100101 Firefox/34.0
 |
 |
レミゼ ちょっと裏話 その１ 過去ログから転載 15/1/11(日) 3:26 |
![[添付]](./brd/myk/image/clip_icon.gif){kind=icon}
≪
|
